ステークホルダ|重要課題の評価
重要課題の分析およびステークホルダーとのコミュニケーション
重要課題の分析
ヌヴォトンは企業としてのサスティナビリティ追求に際し、グローバル・レポーティング・イニシアチブ(Global Reporting Initiative, GRI)により公布されたGRIスタンダード2021年版(GRI Standards 2021)およびAA 1000説明責任原則基準を参考にしつつ、包括性、重大性、対応性および衝撃性を四大原則として重要課題を識別しました。また、GRI 3 マテリアルな項目(GRI 3: Material Topics 2021)に準拠しながら重要課題の分析フローを構築し、当社の重要課題が環境、経営および人々(人権を含む)に及ぼすプラス面・マイナス面のインパクトの程度を評価しています。
重要課題の分析フロー
01 サスティナビリティ課題ライブラリーの構築
過去のサスティナビリティ課題ライブラリーに基づいて、業界のサスティナビリティ活動や国際情勢を見直し、経営、ガバナンス、環境、社会という四つの側面を含めて、当年度のサスティナビリティ課題ライブラリーを構築した。
02 ステークホルダーに注目されている課題の調査
サスティナビリティ課題に対する各ステークホルダーの注目度を理解するため、ステークホルダーの注目度に関するアンケートを配布するとともに、NTCとNTCJの上級管理職者とWGの代表者がステークホルダーの人権に関するアンケートに記入し、当社にとっての各ステークホルダーの重要性を確認した。最終的には、アンケートの結果に基づいてサスティナビリティ課題に対するステークホルダーの注目度に加重スコアを計算した。
03 サスティナビリティインパクトの評価
NTCとNTCJの上級管理職者とサスティナビリティ委員会傘下の各WGの代表者が、サスティナビリティインパクトの評価に関するアンケートを通じて、サスティナビリティ課題が環境、経営および人々(人権を含む)に与えるプラス・マイナスインパクトの影響度や発生可能性を評価した。
04 重要課題の順位付けと確認
サスティナビリティ委員会が02段階と03段階のアンケート結果で評価されたインパクトの顕著性に基づき、経営、ガバナンス、環境、社会という四側面の課題でそれぞれ上位2件の課題を選び出し、当社のサスティナビリティに関する重点目標の順位調整を検討し、最終的な10項目の重要課題を決定した。
05 重要課題の承認
サスティナビリティ委員会で重要課題の分析結果を検討し、各WGが各重要課題に関する管理方針を定めて、最終的に董事会へ提出して承認を受けた。
この図は重要課題マトリクスである。
重要課題マトリクスとは、サスティナビリティインパクトに対するステークホルダーの注目度に加重した評価結果に基づき作図したものであり、そのマトリクスで2023年の重要課題10項目が表示されている。
永續衝擊程度評估與排序
重要課題のリストとインパクトに関する説明
重要課題 | 対応するGRIのテーマに関するスタンダード | ヌヴォトンにとっての意義 | インパクトの側面(プラス面/マイナス面) | 経営、環境および人々に対するインパクトの説明(リスクや機会に対応する道) | 主な担当部門 |
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ガバナンスと信義誠実の経営 |
| 公コーポレート・ガバナンスにおける重要課題を評価することは、ヌヴォトンにとって重要な意義があり、当社がサスティナビリティを確実に実現し、ステークホルダーの期待に応えて、関連法規を遵守し、リスクを有効に管理して、長期にわたり競争力を維持しながら、信用を確立するために役立つ。これらの要素は、当社の長期的な繁栄を図る上で極めて重要である。 | プラス面 ガバナンスや信義誠実の経営を適切に行い、それに関する規則を定めて実施し、運営活動の正しい行動基準を確立すれば、当社、社会および環境にプラスの影響をもたらす。 マイナス面 当社が完全なガバナンスと信義誠実の経営を実行できなければ、当社のリソースの無駄遣いとなり、当社、社会、環境などのためにならない活動に従事すると、ステークホルダーにマイナスの影響をもたらし、さらには法律違反や訴訟に伴う予定外なコストまで生じかねない。 | 経営 信義誠実の経営と良好なガバナンスは企業経営の基本原則であり、ヌヴォトンに対するステークホルダーの信頼を向上させ、ヌヴォトンに対する投資や取引の意欲を高めるため、営業収益や経営にプラスの影響をもたらす。 環境 信義誠実の経営という理念を堅持しつつ、ガバナンス制度を整備すれば、環境を損ねる行為の実施を回避でき、経営的な考え方によりコストを環境に転嫁する事態の発生を減らせる。 人々 良好なガバナンス制度と信義誠実の経営により、法律違反に伴う訴訟や懲罰および営業停止を回避でき、資源の無駄遣いも避けられて、さらには従業員の働く権利や公平な待遇も保障される。 | サスティナビリティ委員会のガバナンスWG、NTCJの内部統制室、NTCJのコーポレート戦略室 |
経営戦略と 経営実績 |
| 経営戦略と経営実績はヌヴォトンのサスティナビリティにとって重要であり、完全な経営戦略を立てれば、コストを最大限まで利用しながら収益を増加させ、さらには当社の利益と経営効率を向上させることができる。 | プラス面 完全な短・中・長期の経営戦略と目標を定めれば、運営実績が有効に向上し、市場競争力が維持される。 マイナス面 市場の変化を洞察しないと、運営上の時機を逸して、顧客や受注を逃してしまう。 | 経営 学界と連携して先行研究開発や実作を行えば、AI研究開発の原動力が持続的に維持され、長期にわたり営業収益の機会が増加していく。 環境 省エネの応用や施設管理にデジタル技術を導入すれば、運営効率が向上し、環境にもプラスの影響がもたらされる。 人々 インテリジェントマニュファクチャリングのアプリケーションを開発すれば、業務や生産の効率、製造プロセスの品質および良品率が向上する。 | 総経理オフィス |
イノベーティブな研究開発の管理 | 自主設定テーマ | 研究開発とイノベーションの能力は、ヌヴォトンが絶えず成長していくためのエンジンである。 | プラス面 イノベーションと成長の原動力が持続的に向上し、斬新な製品やサービスの提供により市場シェアが拡大する。 マイナス面 先進技術を保有できなければ、市場の変化に応じたイノベーティブなサービスや製品を提供できず、市場競争力が低下する。 | 経営 毎年、イノベーション、アイデア、事業創出という理念を掲げて、イノベーションの共有、産業創出およびデジタルによる繁栄・共生という理念を実践する。 環境 環境とインテリジェントを結合させて、応用を開拓・拡大すれば、データの整合とモニタリングが加速され、環境に対するインパクトが低減する。 人々 従業員の活発な創意工夫を奨励するとともに、評価・選考に合格した提案を表彰し、戦略的かつ具体的な行動により従業員の積極的なイノベーションを奨励する。 | サスティナビリティ委員会の製品WG |
情報セキュリティとプライバシー保護 | 自主設定テーマ | 当社の長期的かつ安定的な発展と顧客満足度を確保する意義がある。また、当社と顧客の資産や信用も守られる。 | プラス面
マイナス面
| 経営 違法リスクを回避し、企業の信頼性とイメージを維持する 顧客の心の中でブランドのイメージと信用度が向上することにより、市場規模が拡大し、新たなビジネスチャンスを開拓できる。 環境 情報機器のセキュリティ保護やアップグレードを行えば、機器の効率や運用性能が向上することにより、エネルギー消費量が低減し、グリーンテクノロジーの発展と応用が促進される。 人々 従業員や顧客の個人情報の濫用、漏洩、侵害などの確実な防止により、個人の基本的人権が守られ、当社の社会的責任を果たせる。 | サスティナビリティ委員会のガバナンスWG、NTCJの情報セキュリティ推進委員会 |
サプライヤのサスティナビリティ管理 |
| サプライヤは、ヌヴォトンの運営や生産に必要な材料を供給するため、ヌヴォトンはサプライヤとの共同成長を追求すべく努力している。 | プラス面 サプライヤを管理する良好な仕組みを確立し、サプライヤと共同・連携してサスティナブルサプライチェーンを構築すれば、サプライヤにおける人権保障の実施状況を把握できるとともに、省エネ・炭素削減や運営コスト削減という目的をサプライヤと共同で達成できる。 マイナス面 サプライヤのサスティナビリティ管理を実施できなければ、サプライヤにおける人権や環境管理の状況を把握できず、サプライヤの行為により当社、社会、環境などへ悪影響が及びやすくなる。 | 経営 完全なサプライチェーン管理制度を確立し、物資が安定的に供給されると、運営、生産、操業などの効率が向上し、営業収益が増加する。 環境 サプライヤと共同・連携し、省エネ・炭素削減計画の制定も含めて、サプライヤにおけるサスティナビリティの実績向上に協力する。サプライチェーンの環境面の管理を重視しなければ、コンプライアンスリスク増大の可能性がある。 人々 サプライチェーンで人権に関する紛争や事件が発生すると、顧客の信頼感や発注量が低下し得る。 | サスティナビリティ委員会のサプライヤ管理WG |
気候変動 | 自主設定テーマ | ヌヴォトンは気候変動と企業のサスティナビリティ経営とが互いに影響し合っていることの重要性を深く認識している。気候変動が企業の運営にもたらし得る財務リスクに鑑み、ヌヴォトンはTCFDで推奨されている方法に従って気候変動に関するリスクや機会を識別した上で、その結果を当社のリスク管理の枠組みに組み入れ、サスティナビリティ戦略項目の一つとしている。 | プラス面 当社が管理の実務、製品の研究開発、運営目標といったレベルに気候変動を組み入れると、気候に関する様々なリスクや機会によりもたらされるインパクトの影響に対応しやすい。 マイナス面 当社が管理の実務、製品の研究開発、運営目標といったレベルに気候変動を組み入れないと、気候変動に関するリスクや機会によりもたらされる影響に予め対応しにくい。 | 経営 ヌヴォトンは気候に関する様々なリスクや機会に伴うインパクトや影響へ対応することにより、発展戦略や財務への影響を評価して、グリーン製品の研究開発規模を持続的に拡大し、当社の競争力と産業チェーンの価値を向上させている。 環境
人々 気候変動の課題を重視し、従業員の仕事や生活などに及び得る影響について対応・付帯措置を事前に講じる。 | 主に財務部門が担当し、それをサスティナビリティ委員会が共同で監督する。 |
温室効果ガスの排出 | 305 温室効果ガスの排出 | 温室効果ガスによる温室効果は世界的な課題であり、世界の生態系の存続に影響するため、ヌヴォトンとしても、それを他人事と考えるのではなく、当社のサスティナビリティに関する重要な課題と見なして、省エネ・炭素削減を積極的に推進していく。 | プラス面 当社の温室効果ガス排出量を理解すれば、データを有効に管理しながら、将来的な炭素削減の道筋や戦略を計画できる。 マイナス面 温室効果ガスの排出量を有効に管理できなければ、将来的に炭素税や炭素賦課金が徴収されるリスクと支出が増大する。 | 経営 経済部エネルギー局により公告された低エネルギー消費基準に適合するか、省エネマークが設定されているエネルギー関連設備を調達する。 環境 組織的な温室効果ガスの精査を行い、炭素削減戦略を立てる。 人々 環境保護や省エネルギーに関する従業員の意識を向上させる。 | サスティナビリティ委員会の省エネ・炭素削減WG |
エネルギーとリソースの使用・消費 | 302 エネルギー | ヌヴォトンは「環境サスティナビリティ」という理念により、製品設計、サービス、活動、生産などに伴う環境へのインパクトを低減させている。当社はエネルギー関連法規を遵守して、ステークホルダーのニーズを重視し、エネルギー管理システムの推進により環境に配慮した省エネ環境を構築することを約束する。 | プラス面 当社のエネルギー消費効率が向上し、省エネ・炭素削減を実施できる。 マイナス面 エネルギーやリソースの消費を適切に管理できなければ、運営コストと運営中断のリスクが増大する。 | 経営 環境管理システムを設置し、その計画、実施、検査などを通じてエネルギー・リソース管理を着実に行えば、エネルギー・リソースの消費効率が向上する。 環境 太陽光による省エネ設備を設置すれば、再生可能エネルギーの利用割合が増加する。 人々 環境保護や省エネに対する従業員の意識が向上する。 | サスティナブル委員会の省エネ・炭素削減WGと環境・安全・衛生WG |
人材の重視と育成 |
| 当社が成長するための基礎は従業員の専門・管理能力であり、優秀な人材の募集、引き留めおよび育成・開発は当社の重要な任務である。人材資産は当社の経営にとって不可欠で重要な要素であるため、人材の優位性こそが競争力の維持に繋がる。 ヌヴォトンの考えによると、人材はサスティナビリティの重要な鍵であり、優秀な人材がいるからこそ、技術の発展や競争優位性により当社が市場で重要な地位を占め続けられている。 | プラス面 当社が従業員の給与や福利厚生、および人材の開発やエンパワーメントを重視すれば、企業文化を活性化させながら人材の長所を発揮させることができ、サービス/生産の効率や製品の品質が向上するため、さらには市場における当社の競争優位性が強化される。 マイナス面 当社が従業員の給与や福利厚生、および人材の開発やエンパワーメントを重視しなければ、人材の流失や訓練不足を招き、さらには製品の品質が低下したり、作業が間違えられたりし、当社の競争力が低下してしまう。 | 経営 人材は企業が成長するための根幹であるため、従業員の開発を持続的に重視すれば、従業員のイノベーション能力や効率を向上させることができ、さらには当社の競争力や営業収益増加の原動力が向上する。 環境 NA 人々 当社が従業員を重視して積極的に育成すれば、人材を獲得して引き留めた上で、その長所を発揮させ、従業員の仕事への情熱や満足度を向上させることができる。 | サスティナビリティ委員会の労働者人権WG |
労働安全衛生 | 403 労働安全衛生 | 労働安全衛生は、企業の法定責任であるだけでなく、健康、安全かつサスティナブルな企業文化を確立するための基盤でもある。労働安全衛生管理へ積極的に投資して実践することにより、当社は、より長期的なサスティナビリティ経営を実現できる。 | プラス面 適切に計画された労働安全衛生体系があれば、従業員を有効に引き留め、請負業者の職場も安全かつ健康的になり、労働災害によって生じる直接的・間接的な損害を低減させることができる。 マイナス面 労働安全衛生体系の整備が不充分だと、従業員の安全や健康が脅かされ、さらには企業イメージ、製品品質、労使関係まで損なわれかねない。 | 経営 労働安全衛生体系を整備すれば、職場でリスクを識別しやすくなり、事前に予防できるため、労働安全衛生に関わる事故に伴い法的な懲罰を受ける確率が低下する。 環境 適切な労働安全衛生体系があれば、有害物質を管理しやすくなり、作業場内で有機溶剤、粉塵、特定化学物質といった有害物質のモニタリングや排出処理が確実に行われるため、環境に対する負荷が低減される。 人々 適切な労働安全衛生体系があれば、請負業者の調整や従業員の安全が有効に保障され、安全で健康的な職場が確立される。 | サスティナビリティ委員会の環境・安全・衛生WG |