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重要課題の分析およびステークホルダーとのコミュニケーション
重要課題の分析
当社は、企業の持続可能性を追求するにあたり、2021年版のGRI(Global Reporting Initiative)スタンダードおよびGRIが発行するAA1000アカウンタビリティ原則に準拠しています。インクルーシビティ(包摂性)、マテリアリティ(重要性)、レスポンシビリティ(対応性)、インパクト(影響)の原則に基づき、重要課題を特定しています。GRI 3: Material Topics 2021の枠組みに従い、環境・経済・人(人権を含む)に対する各課題の正負の影響を評価するための分析プロセスを構築しています。
IFRSサステナビリティ開示基準S1およびS2との整合性を図るため、サステナビリティ報告の対象範囲は財務諸表と一致させ、連結財務報告の範囲を採用しています。そのため、当社のサステナビリティ報告書は親会社であるウィンボンド社と連携して作成されており、グループ内の一貫性を確保するために重要課題調査を共同で実施しています。
このアプローチにより、報告書の網羅性と比較可能性が向上し、国際的なサステナビリティ報告の潮流に沿った対応が可能となります。また、グループ全体でのサステナビリティ課題への統合的かつ協調的な取り組みを促進します。当社は、親会社であるウィンボンド社の開示枠組みと段階的に連携し、グループレベルでのサステナビリティ情報の統合を進めるとともに、必要に応じて関連プロセスやシステムの構築を調整しています。併せて、部門横断的な協力体制を積極的に構築し、教育・研修を通じて従業員のサステナビリティ開示基準に対する理解と活用力の向上を図っています。
なお、当社の払込資本は「新台湾ドル20億以上50億未満」の区分に該当するため、IFRS S1およびS2基準の適用は2028年に予定されています。
企業の持続可能性推進にあたり、当社は国連の持続可能な開発目標(SDGs)を重要課題の中核として位置づけており、SDGsの13のターゲットに整合しています。これにより、より包括的な戦略の策定、具体的な目標の設定、継続的な努力とイノベーションによる成果の創出が可能となります。これは、環境・経済・社会の各側面におけるバランスの実現を支援するとともに、グローバルな持続可能性に向けた統一されたビジョンの醸成にも貢献します。
重要課題の分析フロー
01 サスティナビリティ課題データベースの構築
過去のサステナビリティ課題データベースを参照し、国際的な潮流に沿った業界のサステナビリティ実践事例を検討することで、本年度のサステナビリティ課題リポジトリを構築しています。このリポジトリは、経済・ガバナンス・環境・社会の4つの側面にわたるサステナビリティ課題を網羅しています。
02 ステークホルダーに注目されている課題の調査
サステナビリティ課題に対するステークホルダーの関心度を把握するため、各ステークホルダーに対して関心度調査を実施し、当社にとっての重要性を確認しました。最終的に、両調査の結果に基づいて、サステナビリティ課題に対するステークホルダーの関心度を算出しました。
03 サスティナビリティ影響の評価
ヌヴォトンの代表者およびサステナビリティ委員会傘下のタスクフォースの代表者は、サステナビリティ影響評価アンケートを用いて、環境・経済・人(人権を含む)に対するサステナビリティ課題の影響および発生可能性を評価しました。
04 重要課題の順位付けと確認
グループ経営陣によるアンケートの第2・第3フェーズの結果から導き出された影響の重要性に基づき、ガバナンス・経済・社会の各側面における課題を選定し、グループの持続可能な発展に関する優先事項の調整を踏まえて、最終的に9つの重要課題を確定しました。
05重要議題の承認
サステナビリティ推進委員会は、重要課題の分析結果を審査し、各重要課題に対する管理方針をタスクフォースが策定しました。最終的に、これらの方針は取締役会に提出され、承認を受けました。
重要課題マトリクス
重要課題のリストと影響に関する説明
| 重要課題 | 対応するGRI項目 | 対応するSASB項目 | ヌヴォトンにとっての意義 | 影響の側面 | 経営、環境および人材に対する影響 | 主管組織 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 研究開発におけるイノベーション | 自主設定テーマ | - | 研究開発におけるイノベーションは、当社の持続的な成長にとって極めて重要であり、製品競争力の向上、市場機会の拡大、そして多様化する顧客ニーズへの対応を可能にします。技術革新と差別化された製品を通じて、当社はブランド価値と業務効率を高め、コストを削減し、急速に変化する業界環境の中で競争優位性を維持しています。 | 好影響 新たな製品やサービスの提供、市場シェアの拡大を通じて、企業のイノベーションと成長の原動力を継続的に強化します。 悪影響 先進技術の維持ができない場合、市場の変化に対応した革新的な製品やサービスの提供が困難となり、市場競争力の低下につながる可能性があります。 | 経営面 イノベーション、創造性、起業精神を毎年実践し、産業のデジタル繁栄という理念をイノベーションを通じて推進します。 環境面 環境技術とスマート技術を統合して応用範囲を拡大することで、データの統合とモニタリングを加速させ、環境への影響を低減します。 人材面 従業員が革新的なアイデアを提案することを奨励し、選定された提案には報奨を与えることで、戦略的かつ具体的な行動を通じてイノベーションを積極的に推進します。 | サステナビリティ委員会 グリーン製品TF |
| グリーン製品 | 417 マーケティングとラベリング | - | グリーン製品は、当社の競争力およびブランドイメージの向上に寄与し、環境規制や市場ニーズにも適合しています。省エネルギー・低炭素設計により、当社の環境負荷を軽減し、顧客のサステナビリティ要件を満たします。同時に、資源効率の向上と業務リスクの低減を図ることで、長期的な成長利益の確保につながります。 | 好影響 悪影響 | 経済面 環境面 人材面 | サステナビリティ委員会 グリーン製品TF |
| ビジネスインテグリティとコーポレートガバナンス |
| TC-SC-520a.1 | 重要課題に対するコーポレート・ガバナンスの評価は、当社にとって極めて重要です。これは、企業の持続可能な発展を確保し、ステークホルダの期待に応え、関連法規を遵守し、リスクを効果的に管理し、長期的な競争力を維持し、信頼性を確立するために不可欠な要素です。これらの要素は、当社の長期的な繁栄にとって極めて重要です。 | 好影響 悪影響 | 経済面 環境面 人材面 | サステナビリティ委員会 グリーン製品TF, サステナビリティ委員 会コーポレートガバナンスTF |
| 生産性と経営実績 | 201 経営実績 |
| 経営戦略と事業実績は、当社の持続可能な発展にとって重要な要素です。包括的な経営戦略を策定することで、コストの有効活用を最大化し、収益の向上を図ることができ、企業の利益および業務効率の改善につながります。 | 好影響 悪影響 | 経済面 環境面 人材面 | サステナビリティ委員会 コーポレートガバナンスTF |
| 法令順守 | 自主設定テーマ | TC-SC-520a.1 | 当社は、持続可能性の精神と責任ある企業としての原則を重んじており、事業全体において法令遵守を最重要事項として位置づけています。 | 好影響 悪影響 | 経済面 環境面 人材面 | サステナビリティ委員会 コーポレートガバナンスTF |
| リスク 2 マネジメント | 自主設定テーマ | - | 企業の長期的な安定性と顧客満足を確保し、企業および顧客双方の資産と評判を保護します。 | 好影響 悪影響 | 経済面 環境面 人材面 | サステナビリティ委員会 コーポレートガバナンスTF |
| サプライチェーンマネジメント |
| TC-SC-440a.1 | サプライヤは、当社の事業運営および製造に必要な原材料を提供しています。当社は、サプライヤとの相互成長を追求することに尽力しています。 | 好影響 悪影響 | 経済面 環境面 人材面 | サステナビリティ委員会 サステナブルサプライチェーンTF |
| エネルギー及び温室効果ガス管理 3 |
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| 当社は、気候変動が企業の持続可能性に与える影響を認識しており、TCFDフレームワークに基づいて関連するリスクと機会を特定し、それらをリスク管理およびサステナビリティ戦略に統合しています。当社は、製品設計、サービス、活動、製造プロセスにおける環境負荷の低減に取り組むとともに、環境関連法規の遵守、ステークホルダのニーズへの対応、そしてエネルギー管理システムの継続的な推進を通じて、エネルギー効率の高い環境の実現を目指しています。 | 好影響 悪影響 | 経済面 環境面 人材面 | 気候関連情報に関する責任は財務部門が担っており、サステナビリティ委員会およびその傘下の環境サステナビリティTFによって共同で監督 |
| 人材マネジメント 4 |
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| 持続可能性の追求において、人的資源の専門性と管理能力は、ヌヴォトンの企業基盤を支える重要な柱です。ヌヴォトンは、優秀な人材の獲得・定着・育成・成長が、企業自身の中核的使命であると同時に、激しい市場競争の中でリーダーシップを維持するための原動力であることを深く認識しています。 また、労働安全衛生の実践が企業の法的責任であるだけでなく、健全で安全かつ持続可能な企業文化を築くための基盤であると考えています。人材への継続的な投資と、労働安全衛生管理の積極的な推進を通じて、従業員の健康と安全を守るとともに、革新と市場開拓を継続できる企業環境の構築に努めています。 | 好影響 悪影響 | 経済面 環境面 人材面 | サステナビリティ委員会 ソーシャルインクルージョン&人権TF |
1 2024年における重要課題は、親会社であるウィンボンド社との整合性を図りながら、3つの方向で調整が行われました。まず、2023年に採用されていた「経営戦略と事業実績」「イノベーションと研究開発管理」「コーポレート・ガバナンスと誠実な経営」「サプライヤのサステナビリティ管理」「情報セキュリティと個人情報保護」といった名称は、それぞれ「生産性と経営実績」「研究開発におけるイノベーション」「ビジネスインテグリティとコーポレート・ガバナンス」「サプライチェーンマネジメント」「リスクマネジメント」へと変更されました。
次に、複数の課題が統合されました。2023年に採用されていた「労働安全衛生」と「人材の評価と育成」は「人材マネジメント」に統合され、「温室効果ガス排出」「エネルギー資源の使用と消費」「気候変動」は「エネルギーおよび温室効果ガス管理」としてまとめられました。さらに、2024年には新たに「法令遵守」と「グリーン製品」が追加され、これらの調整を経て、合計9件の重要課題が選定されました。
2 「リスクマネジメント」には、「リスクマネジメント」および「情報セキュリティと個人情報保護」の内容が含まれています。
3 「エネルギーおよび温室効果ガス管理」には、「エネルギーおよび温室効果ガス管理」および「気候変動」の内容が含まれています。